共依存とは、特定の相手に過剰に依存し、その人間関係に囚われた状態を指します。
相手のために過剰な犠牲を払い、愛という名のもとに相手をコントロールしようとするのが特徴です。
共依存者は、相手からの依存を通じて自己価値を見出し、自己肯定感を得ようとします。
共依存の特徴には、他人の問題に介入、低い自己評価、抑圧的なコミュニケーション、強迫観念、怒りの感情の欠如などがあります。
DVとも深い関係があり、共依存の状態では暴力や暴言を受けても気づかないことが多いです。
治療は、自己認識と認知行動療法を通じて進められ、自分の感情やニーズを受け入れ、自己効力感を高め、他人に「NO」と言えるようになることが重要です。
共依存からの回復には時間がかかりますが、理解を深めながら少しずつ進めましょう。
共依存とは?
自分と特定の相手に過剰に依存していてその人間関係に囚われている状態です。主に、”人の為に過剰に犠牲を払う愛情表現””相手を愛という名のもとにコントロール”するタイプが多いです。
共依存者は相手から依存される事に無意識に自分の存在価値を見出します。共依存者は「相手から自己肯定感を得よう」とする傾向が高いです。
つまり自分基準に頼って判断できないので、相手の思い通りに動こうとしたり、相手の問題を解決しようとしたり、相手を思い通りに動かすために必死になる傾向があります。
共依存の特徴
他人の問題なのに面倒を見る | コミュニケーション力が乏しい |
自己評価が低い(高く見せようとする) | 他人と自分とのラインが曖昧 |
抑圧的なコミュニケーション | 信頼感を失っている |
強迫観念に囚われる | 怒りの感情が正常に働いていない |
相手をコントロールしたがりできないと感情的になる | セックスそのものを楽しめない |
現実と向き合う事ができない | 選択・行動が両極端 |
何かに依存しがち | |
DVと共依存関係
上の共依存の人の特徴を見れば、DV(暴力・暴言)をする側もされる側も実は共依存に当てはまるというのがわかるはずです。
実際、DVはされている側が「DVをされている事に気付かない」パターンが多いのは、正に盲目的に「この人には自分が必要だ」と感じてしまっている共依存状態だからです。
する側も一緒で、共依存は主に
・受動的攻撃「相手の思い通りにする」・・・被害者側に回ってコントロールする
・支配的攻撃「自分の思い通りにする」・・・自己満足的な支配でコントロールする
こういった関係を作る事によって精神的な安心感を求める傾向があるのです。そして、この共依存は共にいる人に大してそのまま影響を及ぼします。
例えば、両親が共依存関係だったのならば子供はコミュニケーションとはそういうものだというように感じます。そして、共依存の異性を好きになって付き合ってもその付き合い方に引っ張られる傾向があるのです。
アダルトチルドレンとは、幼少の頃に家庭内でトラウマ(心的外傷)によって傷ついて大人になった人のことを言います。そのため共依存とは深い関係があると言われています。
・共依存と相互依存(共存)の違い
つまり、共依存は「互いの人生を互いに足を引っ張り合う」事に繋がるのです。自分の存在意義を「相手に求める」ので、相手が存在しないと自分のアイデンティティーが崩壊してしまうような感覚を感じてしまうから・・・
・本当は自分は〇〇したいんだけど相手の言うことを聞く
・自分は〇〇が欲しいから相手に〇〇をさせる
という考え方がうまれて結果的に相手の意思・自分の意志を殺す方向にいってしまうのです。
それとは違い相互依存は、
・自分の余力で相手にできる事で相手に貢献をする
・自分でできないこともないけど相手にしてもらえる事に感謝できる
という関係です。つまり、互いが互いにやりたいことをやりながら互いの関係をよりよくするために手助けをしあって感謝をしあえる関係なのです。
相互依存:互いに貢献し感謝をしあえる関係
共依存:互いの人生の足を引っ張り合う関係
共依存がおこりやすい関係
第一印象で「この人は共依存だ!」というのはわからないものです。それは共依存というのは主に
・恋愛関係
・夫婦関係
・親子関係
のような深い関係になるほどおこりやすくなるからです。確かに付き合うまで、結婚するまでに見破ることはできないでもないのですが、確信を得るのは大体は深い関係になってからになってしまいます。
共依存と言ってもレベルがありますから。
例えば、親から共依存のコミュニケーションを学んでしまっているアダルトチルドレンの人のならば重症度が高くなる傾向が高いです。
なので一概にちょっとした事で「この人は共依存だ!」と判断するのは早いです。あくまで共依存の診断を下せるのは専門家であることは頭に入れておいてくださいね。
その上でメンタルヘルスアメリカで提供されている共依存の兆候を見極めるためのアンケートを紹介しておきます。
共依存の兆候を見極めるためのアンケート
何度も言いますが共依存は重症度の高さや共依存だと判断するのはというのは専門家でしかできません。それを理解した上で以下のアンケートで「自分は共依存なのかな?」「あの人は共依存じゃないのかな」と思った時に参考にしてみてくださいね。
1.議論を避けるために無言になったことありますか?
2.他人の意見をいつも気にしていますか?
3.アルコールや麻薬をしている人と一緒に住んだことはありますか?
4.殴ったり、軽蔑したりする人と一緒に住んだことはありますか?
5.他人の意見はあなた自身の主張よりも重要視してますか?
6.職場や家庭での環境の変化に順応するのは難しいですか?
7恋人やパートナーな人が友達と時間を過ごすとき、あなたは拒絶されたと感じますか?
8.自分がなりたい自分になれるということを疑っていますか?
9.自分の本当の気持ちを他人に表現するのに壁を感じますか?
10.間違えたとき、あなたは「失敗」と感じますか?
12.褒め言葉や贈り物を受け取るのに申し訳なさを感じますか?
13.あなたの子供や配偶者が間違いを犯したときに不快感が強いですか?
14.絶え間ないほど頑張らないと認められないと思ってますか?
15.誰かがあなたが何かを成し遂げるのを手伝ってほしいと望みますか?
16.警察や上司など、権威のある人と話す時に警戒心を感じますか?
17.あなたは自分が何者か?または何を望むのかを考えられませんか?
18.助けを求められたときに断る事に不快感を感じますか?
19.誰かに助けを求める事は難しいですか?
20.一度に沢山の問題・課題を抱えていて混乱していませんか?
これらの項目に「YESが明らかに多い場合」は専門家に診断してもらう必要があるかもしれません。
共依存の治し方は?
まず共依存は普通は、子供時代からの経験から学んでいるため、治療には幼児期の問題と現在の破壊的な行動パターンとの関係を見つけ出して認知行動療法などで治療していくのが基本です。
また現在共依存関係の環境にいる場合は、その環境そのものを治療(夫婦ならば夫婦共に治療)していかないといけません。一方だけの治療の場合はまずはその環境から切り離します。
そこから、
・自分自身の感情やニーズを特定してまずは受け入れる。
・自己効力感を高めて自分も他人も存在するだけで価値がある事を学ぶ
・誰かのお願い事に対して「NO」を言えるトレーニングをする
・自分自身で選んで自分で行動をすることを習慣化する
そして、共依存について・共依存関係について理解を深めていくことによって少しずつ回復していくのが基本です。共依存関係が長いほど時間がかかるので、少しずつすすめていきましょう。