愛着スタイルとは、私たちが他者との関係を築く際にどのような行動や反応を示すかを示す重要な指標です。
この理論は、1950年代に心理学者メアリー・エインスワ―スと精神科医ジョン・ボウルヴィによって提唱され、幼少期に形成された愛着スタイルが成人後の人間関係や恋愛関係、夫婦関係に大きな影響を与えることを示しています。
この記事では、4つの愛着スタイル(安定型、不安型、回避型、恐怖回避型)について詳しく解説し、それぞれの特徴と人間関係への影響について探っていきます。
愛着スタイルとは?
愛着スタイルとは?人が人間関係において他者との関係を築く上でのスタイルを特定する方法です。1950年代に心理学者のメアリーエインスワ―スと精神科医のジョンボウルヴィによって開発された理論です。
この愛着スタイルは4パターンあり、私達人間がそれぞれ幼少期に形作られたもので本能的に大人になってからの人間関係・恋愛関係・夫婦関係にも影響をすると言われています。
4種の愛着スタイル
この愛着スタイルは、他者との関りの中でどのように反応をするのか?どう行動をするのか?ということによって判断することができると言われていて、
・安定型
・不安型
・回避型
・恐怖回避型
の4種類あると言われています。それぞれ具体的に紹介をしていきましょう。
1.安定型
安全・安定型の愛着スタイルの人は、他人と健全な人間関係を築く事ができます。愛着が安定しているので、他人を信頼し・信頼され、愛し・愛を受け入れて他人と距離を近づけることができます。
彼らは親密さを恐れることもなく、1人の時間や他の人との時間を過ごすなど距離をとることにたいしてパニックになったり不安になることもないでしょう。完全に依存せずに依存することができる相互依存関係を築きやすいです。
1980年代の社会心理学者シンディーハザンとフィリップシェイバーによる基礎的な愛着スタイルの研究によると成人の56%が安定型の愛着スタイルをもっていると言われています。
2.不安型
不安型の愛着スタイルは、自分が愛さていて信頼をされているのか?という不安や恐れを抱く傾向があります。どれだけ相手が信頼をしても本人は不安や恐れを抱き自分から離れてしまうのかを心配し確認をとろうとします。
この不安型の愛着は「心配性」であり「しがみつく」行動にいたりやすいとされていて、たとえ愛情表現をしたとしてもその部分を見ずに不安なところを探してしまうのです。
そのため、愛情を受け取ってもらえない相手は離れていきしがみつくというパターンにはまりやすいです。
HazanとShaverの調査によると、成人の約19%が不安な愛着タイプを持っていると言われています。
3.回避型
回避的の愛着スタイルは、そもそも人と親密になることに対して恐れを抱いています。そのため、他人の人に近づいたり関係を深くすること、信頼をすることに苦労する傾向があります。
彼らは通常、人との距離をおきオープンに自分を見せる事はせず信用してはいけないとさえ思っていて依存をすることを極端に恐れます。
HazanとShaverによると、成人の約25%が回避性愛着タイプを持っているとされています。
4.恐怖回避型
恐怖回避型の愛着スタイルは、先ほどの不安と回避型の両方の愛着スタイルの組み合わせで常に恐れを持ちながら人とのかかわりを避けるというなかなかやっかいに見えるスタイルです。
必死に愛情を求め・・どんな犠牲を払っても人が離れるのを避けたいと思っている。しかし、親密な関係を築いていくことにたいして消極的・・なのに愛されたいと切実に思っているのです。
恐怖回避型の愛着スタイルは、無秩序な愛着スタイルとも言われていて稀とされているので十分に研究されていないそうです。
しかし、人間関係における暴力のリスク・性犯罪のリスク・人間関係を破壊するなど重大な人間関係のリスクに関係していることはわかっているそうです。
愛着スタイルはどのように形成されるのか?
愛着スタイルは遺伝ではなく乳児期に開発されていると言われてます。研究者たちは生後7~11カ月・・産まれてから1年以内に形成されていると言われています。
「人間は無力な状態で産まれるので、出生時に自分を守るため・出生時の介護者に適応した愛着スタイルを選ぶとされている。」
とGraceSuhはMBGで語っています。
また、
「最初の絆の質が愛情があり安定しているか?一貫性がないか?存在しているのか?を発達中に脳内で形作って対処方法として行動に影響をする。」
とアタッチメントエフェクトの著者であるピーターロブンハイムは書いています。つまり、出生から発達中の脳の発達によっておこると思っておけばいいでしょう。
例えば・・・以下の要素で愛着スタイルが決まるとされています。
・安定型:保護者は子供のニーズを聞けるオープンな関係を構築
・不安型:保護者は一貫性がなく、子供の愛情を受け取れず、時に過度な関与をしたり引きこもったりします。
・回避型:保護者は基本的に子供に対して無反応です。退屈で距離感が遠いです。感情的なつながりもなくに子供はニーズを満たされていないと感じるでしょう。
・回避恐怖型:保護者はトラウマや恐怖を抱えており、子供と密接なつながりを望んでいるにも関わらず、拒否をしたり暴力的になったりします。「人との境界線の引き方」がわからなくなってしまうので子供もたびたび混乱をしてしまいます。
しかし、あなたの愛着スタイルを形作るのは親だけではありません。確かに先天性の愛着スタイルは育ての親から影響をうけますが、その後の人生の中で生涯を通じてあらゆる人間関係・恋愛関係・夫婦関係から影響をうけるのです。
「子供のころは安定型だったけど、成人になった時に裏切りによって不安定型になった!」
という場合もあると言われているのです。
そのため、愛着スタイルには常に自分自身で意識しておくべきですし、自分は安定型だから大丈夫だと思わず注意を払いましょう。
愛着スタイル診断
では、あなたは一体どのような愛着スタイルをもっているのか?はオンライン診断がいくつかあります。
その中で参考になるかなと思うのがRChrisFraley。によって作成された、科学研究で研究されたパラメーターに基づく愛着診断です。イリノイ大学の心理学者で愛着理論を研究しています。英語なので翻訳してやってみてください。
しかし、わざわざこういった診断をしなくても先ほどの説明を読んで一番強いものを直観的に選ぶだけでもいいです。
大体はずれていないので。もっと簡易的にチェックをしたいのならば下記で当てはまるものを選びましょう。
1.私は他人と距離を縮めることに抵抗がなく、相手に頼って頼られるのことが快適だと思っています。見捨てられたり距離をつめられる事に対する心配はありません。
2.相手は私が望むほど親密になることに気がすすまないように見えます。パートナーは自分のことを愛していないのではないか?一緒にいたくないのではないか?と心配することがよくあります。そして、私は好きな人・大切な人と完全に1つになりたいという欲求を持っています。
3.私は他人との距離が近づくことに不快感を感じます。相手を完全に信頼することが難しく、自分自身が誰かに頼る事は難しいと感じています。近づきすぎると緊張してしまいます。恋人が出来た時に比較的相手が親密になりたいと望む傾向が高いです。
これを見ればもうお分かりですね。1:安定型 2:不安型 3:回避型です。そして、2と3が交互にくる場合は「恐怖回避型」になります。また、環境によってこれが変わる人もいるそうです。
愛着スタイルを変える事はできるのか?
もし、あなたが不安型や回避型・恐怖回避型のどれかに当てはまるのならば思うはずです。
愛着スタイルを変える事は可能か?と。
もちろん可能です。しかし、これには条件があって安定型の人との関りがない環境下で安定型の愛着スタイルになることはかなりの努力と忍耐が必要になりますのでそこは覚えておきましょう。
その上で愛着スタイルを変えるための基本的な方法を紹介します。
STEP1.あなたのパターンを特定しましょう。
まずは子供のころの両親との関係について思い出してみるところから始めまます。これはカウンセリングやコーチングをしている方々がまず最初にすることです。
まずは以下の質問を自分自身に問いかけます。
・子供のころ、親はあなたに対してどのように向き合ってきましたか?
・あなたは親にどのような反応をしましたか?
・問題が起こった時にあなたは誰に慰めてもらいましたか?
・親は信頼できましたか?それとも怠慢でしたか?
これによって愛着スタイルと形作った可能性のある関係が明確になってくるはずです。現在と過去の愛着スタイルを観察することによって、現在もそのパターンがあるのか?変化したのか?が見えてくるはずです。
その頃の親は一体どの愛着スタイルだったと思うのか?そんな親をどのように彼らを癒してあげるのか?をイメージングするだけでもかなり楽になると思います。
STEP2.自己肯定感を高めましょう。
まず、安定型の愛着スタイルに変えるためには・・自己肯定感を高めるのが鍵です。弱い部分も強い部分もまずはあなた自身がうけいれましょう。
そして自分の強みを活かして誰かに何らかのいい影響を与えることができるという体験ができればなおベストです。
しかし、まずは自分に対して寛容になることです。自分を受け入れられないと他人も受け入れられなくなってしまうので、まずは自分自身を素直に受け止めてあげてください。
STEP3.あなたが本当に求めているものを伝える。
結局のところ、、、全ての不安定な愛着スタイルは、パートナーとの関係がうまくいかないという恐れから不安定な関係を築きます。ですから、あなた自身が相手との関係に安心で安全であるように感じてもらうために・・・・・・
・あなたの弱さやダメな部分を開示しましょう。
・感情的にならず自分の感情を伝えましょう。
・相手との境界(ライン)を設定しましょう。
・それぞれの意見をシェアし受け入れましょう。
・Why?を意識して会話を深めていきましょう。
・簡単に断定をするのをやめましょう。
これらの事は気をつければ随分楽にコミュニケーションをとることができるはずです。ただ注意が必要なのは伝えるだけで強制や強要をしないように気をつけてください。
互いに別々の人間でありそれでもつながることができるという体感をしてください。
まとめ
愛着スタイルは、幼少期に形成される人間関係の基本的なパターンであり、成人後の恋愛や夫婦関係にも深く影響を与えます。
安定型、不安型、回避型、恐怖回避型の4つのスタイルがあり、それぞれの特徴を理解することで、自分自身やパートナーとの関係をより良いものにする手助けとなります。
自身の愛着スタイルを知り、それを意識的に改善することで、より健全で幸福な人間関係を築くことが可能です。
この記事を通じて、自分の愛着スタイルを理解し、より良い未来を築く第一歩を踏み出しましょう。